2023年10月1日、MINISFORUMはオンボードでRyzen 7 7745HXを搭載するMini-ITXマザーボード「BD770i」を発売しました。
スペック

■ BD770i | |
CPU | Ryzen 7 7745HX |
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メモリ | SO-DIMM DDR5-5200×2 |
ストレージ | M.2 Gen5 SSD×2 |
インターフェース | PCIe 5.0 x16コネクタ ×1 USB Type-C(Gen2)×1 USB3.2 Gen1×2 USB2.0×2 HDMI2.0×1 DisplayPort1.4×1 2.5GbE 有線LAN オーディオジャック |
wi-fi | M.2 Key-Eスロット |
サイズ | 170×170mm |
電源 | 24ピン |
特徴
「BD770i」は「EYERTEC AD650i」に続く、ミニPCメーカーであるMINISFORUMが発売したマザーボード第2弾です。

MINISFORUMでは「BD770i」を”AMD Ryzen 7 7745HX CPUをデスクトップ用マザーボードに搭載した初のMoDT(モバイルデスクトップ)マザーボード”と謳っています。
CPU
「BD770i」のCPUはRyzen 7 7745HX。
Ryzen 7000シリーズの中では最上位となる7045シリーズで、デスクトップ向けコアをモバイル用にパッケージングしたCPUです。
強力なCPU性能を持つ反面、ゲーミングノートなど外付けGPUと組み合わせることを前提としているため、内臓グラフィックは最小限となっています。

CPU性能は現行最高峰クラスのモバイル向けCPUであるCore i9-13900HやRyzen 9 7940HSを超えて堂々のトップクラス。
参考までにデスクトップ機でよく採用されているCore i5-13500(TDP65-154W)がスコア32,500、Core i7-13700F(TDP65-219W)がスコア39,800。
TDPは45-75Wでありながら、Core i5-13500並みの性能ということになります。
さらに、「BD770i」の製品ページには最上位となるRyzen 9 7945HXのグラフも併記されています。
Ryzen 9 7945HXは16コア32スレッド(Ryzen 7 7745HXは8コア16スレッド)と、コア/スレッド数はRyzen 7 7745HXの2倍でPassMarkスコアは56,600。
デスクトップ向けのCore i9 13900K(TDP65-219W!)で59,700なので、トンデモ具合が分かるかと。これが来たら爆売れしそう。
グラフィックはRDNA2ですが2CUであり、そもそもdGPUと組み合わせるCPUなので内臓グラフィックスは相当に弱め。
Ryzen 7 7745HXの内臓グラフィックスコアは見当たらなかったのですが、同じRadeon 610Mを搭載するRyzen 7020シリーズを参考にすると、Intel N100よりはまし程度となるようです。
メモリとストレージ
メモリはSO-DIM DDR5が2スロット。DDR5-5200まで対応します。
ストレージは、M.2 Gen5 SSDスロットが2スロット。
ざっくり調べた範囲では、Mini-ITXだとほとんどがGen4スロット、Gen5の複数スロットという製品は見当たりませんでした(あっても最大で5.0+4.0)。
なので、デュアルGen5 SSDスロットというのは「BD770i」の大きな売りの一つですね。
Ryzen 7045シリーズはCPU内にチップセットの機能が組み込まれた形となり、PCIeレーンはCPU直結か、それに近い状態と言えます。
実際にベンチマークを取らないと分かりませんが、デスクトップ機のチップセット経由よりは早いでしょう。
Gen5 SSDは10GB/sを超える超高速な代わりに高発熱で、ゴツいヒートシンクがセットで販売されるような代物ですが、「BD770i」ではアクティブファン付きのヒートシンクで覆うようになっています。
それからスペースの関係か、SATAポートはありません。
その他
無線LANはM.2 Key-Eスロットとアンテナ端子が用意されていて、Wi-fiカードは自前で用意するスタイル。
有線LANは2.5GbEです。
上の画像でも示されていますが、「EYERTEC AD650i」とは違ってMini-ITX規格に合わせて、GPUなどで使えるPCIe Gen5 x16スロットが用意されています。
公式製品ページでの文言では、”Nvidia RTX4090/AMD RX 7900 XTXサポート”とされています。
また、あくまでCPU付きマザーボードという位置づけなので、電源などはなし。ケース・電源・メモリ・ストレージ・GPU・OSは自前で用意する必要があります。
外観
全体のイメージ。
巨大なCPUヒートシンクと、SSD用ヒートシンクでほぼ全面が覆われています。
後述しますがCPUファンは非搭載で、取り付けプレートだけがある状態です。
ヒートシンクを外した状態のインターフェースです。
見た目的にはかなりシンプルで、電源周りだけがっつりしています。
背面インターフェースも豪華ではないものの必要なものは揃っています。
Wi-fiカード用のスロットが見えないのが気になりますが、背面にあるのでしょうか。
12025ファン(12cmファン)に対応していますが、CPUファンは自前で準備する必要があります。
「BD770i」はハイエンドクラスのCPUオンボードMini-ITXという位置づけであり、そのクラスになるとユーザー側も静音ファンにするとか高風量ファンにするとかこだわりを持つ層になるので、あえて非搭載にするのは理にかなっているかなと。
まぁ、大半はNoctuaを買う気がするわけですが。
あと、BIOSからファン制御はできるものの、OS上で動作する制御アプリは提供されないとのこと。
まとめ
「BD770i」の価格は65,980円。
CPU込みでハイエンドマザボよりちょっと高い程度。同程度の性能であったCore i5-13500が単体で3.8万円程度なので、これを3万円弱のマザボと組み合わせたくらいの価格感です。
そう考えると、価格的には高くもなく安くもなく、Mini-ITXでデュアルGen5 SSDという付加価値分くらいはお得かな?といったところでしょうか。
CPUファン込みでも薄めにまとめられる構成だけに、コンパクトゲーミングPCを組みたい層には注目を浴びそうです。
あと、ベンチマーク用。
PCIe Gen5スロットにデュアルGen5 SSDは、これをベンチマーク母艦にしてみようというレビュアーも出ておかしくないかなぁと。
何にせよ、コンセプトがはっきりしていて分かりやすく、価格もわりと手ごろなので、じんわりと売れていくタイプのマザボになる気がします。
関連リンク
公式製品ページ:MINISFORUM
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