2023年11月10日、MINISFORUMはRyzen 7 7840HSを搭載したミニPC「UM780 XTX」を発売しました。
スペック
■ UM780 XTX | |
CPU | Ryzen 7 7840HS |
---|---|
メモリ | 0~64GB DDR5-5600 |
ストレージ | 0GB/1TB NVMe Gen4 SSD |
インターフェース | USB Type-C(USB4)×2 OCuLink×1 USB3.2 Gen2×4 HDMI 2.1 DisplayPort 1.4 2.5GbE有線LAN×2 オーディオジャック |
wi-fi | Wi-fi 6E+BT5.2 |
サイズ | 記載なし |
重さ | 記載なし |
特徴
MINISDORUMではZen4 CPU搭載ミニPCとしてRyzen 9 7940HSを搭載する「UM790 PRO」およびRyzen 5 7640HS搭載の「UM760 PRO」を販売しています。
2023年5月の発表時には同時にRyzen 7 7840HSモデルとなる「UM780 PRO」も発表されていたのですが、一向に発売されず。
何かあるのかなぁと気になっていたところに登場したのが、「UM780 XTX」です。なるほど、Ryzen 7 7840HSは別機種に振ったのかぁと納得しました。
「UM780 XTX」は「UM790 PRO/UM760 PRO」とはインターフェース構成が全く異なっていて、厚みも増しています。
また、64Gbpsの通信に対応したOCuLinkを搭載しました。
OCuLinkはUSB4(40Gbps)の1.6倍の速度が出るため、外付けのGPU Boxを接続するのに向いています。
CPU
前述の通り、搭載CPUはRyzen 7 7840HS。
最新となるZen4+RDNA3アーキテクチャで構成されたCPUです。
CPU性能はPassMarkスコアが30,000弱。Core i7-13700H以上Core i9-13900Hという優秀なスコアを収めています。
グラフィック性能はCPU内臓グラフィックとしてはダントツで、GeForce GTX 1650をサクっと上回っています。
メモリとストレージ
メモリは32GBまたは64GBのSO-DIMM DDR5-5600。DDR5には48GBモジュールというものがあり、これを使うと最大96GBにできます。
ストレージは1TB Gen4 SSD。
また、公式ストアではメモリ・ストレージ・OSなしのベアボーンモデルも用意されています。
その他
無線LANはWi-fi 6E(802.11ax)対応。Bluetoothはv5.2です。
有線LANはデュアル2.5GbE。
特殊な端子として、OCuLinkを搭載しています。
OCuLinkとはPCI-SIGが策定した外付けPCI Expressの規格で、 正式名称は「SFF-8611」。GPD「Win Max2(2023)」で搭載されて話題となった端子で、 USB4/Thunderbolt3(40Gbps)を超える64Gbpsで接続できます。
名称は少なくとも2012年から存在するという、意外と古い規格で、名前の由来は「OpticalとCu(Copper)のLinkなんで頭文字とってOCuLink」だそう。なのでCも大文字です。
M.2の配線を外に出しただけというシンプルさで、ケーブルにもチップの類は載っておらず、その単純さゆえに壊れにくいこと、ただの配線なのでPCIeの規格イコールOCuLinkの速度となることがメリットです(なので当初はPCIe Gen3の32Gbps接続だった)。
デメリットは、対応デバイスの少なさ。
記事執筆時点ではMINISDORUMは対応デバイスを用意しておらず、手軽に入手できるのはRadeon RX 7600M XT(8GB)を搭載した「GPD G1」くらいです。
One-Netbook社も同じGPUを内蔵した「ONEXPU」を発表していますが、未発売。
「GPD G1」の場合、OCuLinkとUSB4を同時接続して帯域を増やす(理屈上では104Gbps?)ことができるのだとか(「UM780 XTX」が対応するかは不明)。
注意点として、OCuLinkはM.2スロットと同じような扱いとなるので、ホットスワップには非対応。取り付け/取り外しは電源を落としてから行う必要があります。
外観
本体です。
スタンドは斜め設置になりました。
インターフェースです。
フロントデュアルUSB4だった「UM790 Pro/UM760 Pro」とは違い、USB4はフロントとリアに1ポートずつとなりました。
インターフェース上部にも通気口が開けられ、その分厚みが増しています。
インターフェース下部の排気口も心持ち広くなっていますね。
冷却には自信があるようで、製品ページでは全負荷時でも43dBと説明されています。
他の角度から。スタンドはVESA穴をうまく活用しています。
また、サイドは吸気口が大きくあけられていることも分かります。
内部は「UM790 Pro/UM760 Pro」同様にデュアルM.2 Gen4スロットあり。
発熱しやすいM.2 SSDはアクティブファン付きの大型ヒートシンクで冷却します。
最近はSSD用のファン付きヒートシンクを内蔵するミニPCも増えてきました。
SSDヒートシンクの画像にも映っていましたが、天面にはバックライト・エッチングシートなるものが仕込まれていて、半透明のトップカバーを通して3色に光らせることができます。
…いやこの機能、いる?このために筐体を厚くしたの?
まとめ
「UM780 XTX」の価格は以下の通り(記事執筆時点での割引適応後の価格)。
ベアボーン:78,980円
32GB+1TB:106,490円
64GB+1TB:121,980円
他社のRyzen 9 7940HS搭載ミニPCと同程度の価格帯…というか、各構成とも「UM790 Pro」とほぼ同じ価格ですね。
OCuLinkというユニーク要素は大きい反面、使用者はさほど多くないでしょうから(=大量生産によるコスト削減がしにくい)、さもありなんと言ったところです。
現時点ではOCuLink対応のeGPU Boxが存在しないため、好きなグラフィックボードで増設ということはできないものの、大きなスペースを取らずグラフィックを強化できるという点は魅力的です。
まぁ、外付けGPU Boxの選択肢が「GPD G1」しかない以上、「HX99G」のRyzen 7 7840HS+Radeon RX 7600M XT版が出れば解決では?と思わなくもないですが。
今後、OCuLink対応デバイスが増えてくれば輝けるようになるでしょう。
調べた範囲だと(GPUが使えるかは不明ですが)OCuLinkに対応したアダプタはありますし、eGPUのフォーラムではOGRE-250とか、OSMETA GK01とか、OCuLink対応のeGPUアダプタがいくつか存在してはいるようですが。…デバイスが増える未来は、くるかなぁ…
ちなみに、中国ECではシングルデー真っ最中に付き、GPD G1がクーポン:18OT81 で89,399円で購入できます。
有効期間が少し先なので注意してください。
クーポンコード:UM780XTX-I83
期間:11月23日~30日
関連リンク
UM780 XTX:MINISFORUM
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