【レビュー】Lexar NM790(4TB):高性能で低価格、最強クラスのDRAMレスSSD

レビュー

Lexarは1996年に設立した、老舗の記録メディアブランドです。
2006年に米Micronが買収し、長らくMicron傘下だったのですが、2017年に中国のメモリーモジュール企業、Longsysが買収。2018年にはLongsys資本の下でLexar Internationalが発足、その際はLexar品質を支えてきたテスト施設「Lexar Quality Labs」も引き継ぎました。

今ではもともと強かったコンパクトメディア事業に加え、SSDやメモリーなど、幅広く手掛けています。

そのLexarが販売する「NM790」は評判も良く、人気の高いM.2 SSDです。
ぽっと出の中華SSDメーカーと違って背景がしっかりしていることからがじぇっとりっぷでも導入を決め、購入しました。

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Lexar NM790

■ LNM790X004T-RNNNG
容量4TB
接続PCIe Gen 4.0 x4
NVMe 1.4
転送速度リード:7,400MB/s
ライト:6,500MB/s
NANDYMTC 232L NAND
キャッシュメモリなし
耐久性3000TBW
保証5年

※セールで在庫切れとなり、マーケットプレイス品の価格が表示される場合があります。

本体外観

箱は縦型。

留めねじが同梱されています。

マニュアルには日本語あり。
歴史があるブランドだけあって、中華フォントや直訳っぽい文言もなく、日本語は完璧です。

本体裏表。

裏面はチップがない、片面実装となっています。

シールを剥がすとチップは全部埋まっています。
DRAMメモリを搭載せず、キャッシュにはメインメモリの一部を利用するHMB(ホストメモリバッファ)方式のDRAMレスSSDです。

ちょっと見にくいですが、コントローラーはMaxio。

NANDはlongsysのロゴ入り

longsysチップ!?と思ったけど、中身はYMTCの232層 3D TLC NANDでした。
MAP1602+YMTC 232Lは、格安中華M.2 SSDに多いパターンです。

チェック環境

検証はLenovo「IdeaCentre Mini Gen8」と、「NM790(4TB)」を2台使用。

【レビュー】 Lenovo IdeaCentre Mini Gen8:パワフルで10万円を切る電源内蔵ミニPC

「IdeaCentre Mini Gen8」はデュアルGen4スロットを持っています。

こんな感じで蓋を開けたまま検証。冷却面では多少マシなものの、実際のノートなどでの使用状況を想定して、ヒートシンクは使いません。

CrystalDiskInfoの情報です。
仕様ではNVMe 1.4となっていましたが、実際はNVMe 2.0での接続となっています。

ちなみにNVMeのバージョンは転送速度とはあまり関係がなく、そもそもが通信プロトコルの規格名です。なので、バージョンによって使えるコマンドセットや機能に差があります。

ざっくり調べた感じだと、NVMe 2.0ではZNS Command SetやKV Comman Setが追加され、HDDをサポートするように。
NVMってNon-Volatile Memory(不揮発性メモリ)の頭文字(eはExpress)なのに、磁気ディスクをサポートとは…

ベンチマーク

ベンチマークはヒートシンクのない状態で計測しています。
エアフローのしっかりしたデスクトップ機やヒートシンク装着などの整った環境より低いスコアとなりますので、参考程度にとどめてください。

CrystalDiskMark

CrystalDiskMarkではサイズを1GiB・64GiBにして測定。

シーケンシャルでリード6,925/s、ライト6,498MB/sを記録。ライトは仕様通りですが、他メディアで最大限に環境を整えてもリード7,100MB/s程度なので、あまり条件の良くない環境でこれだけ出れば十分でしょう。

64GiB時はシーケンシャルライトがやや落ち込み。特にランダム性能が大きく落ち込んでいます。
この症状自体はDRAMレスSSDはよく見られるため、何か異常があるというわけではありません。

4Kランダムのレイテンシ(1GiB時)は57.89μsとやや遅め。この辺りはCPU直結とか遅延要素を徹底的に排除しないと実力が見えないところなので、モバイル向けCPUならこんなものと言えるかと。

AS SSD Benchmark

AS SSD Benchmarkでは総合3393ポイント。

「Compression-Benchmark」は結構フラットなスコアに。

h2testw

h2testwは、2.2GB/sでスタート。
検証環境が異なりますが、SAMSUNG「980 PRO」が約1.4GB/sスタートだったことを考えると、好スタートと言えます。

【レビュー】SAMSUNG 980 PRO:さすがの大御所、速度の落ちないGen4対応SSD

びっくりしたのが、半分の2TBを超えても1.5GB/sを維持していたこと。

2.4~2.5TB付近でついに600~700MB/sにダウン。

そのまま600~700MB/sでフィニッシュ。

トータルでは、書き込みは平均1.06GB/s、読み込みは平均1.36GB/sでした。

ATTO Disk Benchmark

ATTO Disk Benchmarkはファイルサイズが小さなファイルにおけるスループットを計測するベンチマークです。
グラフを見た感じ、リードは2MB、ライトは512KBがピークですね。

HD Tune Pro

HD Tune Proではリードはほぼ一定で平均1,997MB/s。

ライトはやや乱れていますが、平均2,181MB/sでした。

その他の計測結果。

ファイル転送(書き込み)

ファイル転送は「DiskBench」を使って計測。

10GB(1GB×10)のファイル:3秒644 (2810.099 MB/s)
100GB(1GB×100)のファイル:38秒678 (2647.5 MB/s)
1TB(1GB×1000)のファイル:386秒763 (2647.616 MB/s)

ファイル転送では100GBの書き込みでも速度が落ちることなく、コンスタントに1.8GB/s前後を保ちました。

1TB転送時のタスクマネージャの様子。
アクティブ率が100%に達することもなく、CPUも含めて余裕をもって処理できていることが分かります。

温度について

温度はHWMonitorと、HWiNFOの2種類で調査。
HWiNFOはNANDとコントローラの2種類の温度センサーが見えていますが、HWMonitorではコントローラしか見えていません。
センサー上は最大72度でした。

サーモグラフィーで見ると、コントローラ部が65.9度
エアフローの悪い環境だと70度オーバー、場合によっては80度近くなることはありそうです。

Gen4 SSDは全般的に発熱するので、可能な限りヒートシンクを装着しての運用が望ましいでしょう。

まとめ

「NM790」は評判通り、ベンチマークでもしっかりした性能を見せています。
MAP1602+YMTC 232L NANDの組み合わせは高速SSDの鉄板で間違いないでしょう。

中華SSDと同じ部材なだけに耐久性に対する信頼度は中華SSDとあまり変わりないと思われます(まぁLexarも中華資本なのですが)。そもそも登場してからの日数が浅いために長期耐久性を測れるほどのデータがまだありません
とはいえ、Lexarはいまだ拠点をアメリカに置いていますし、サポート体制は下手な中華SSDメーカーよりはましでしょう。多分。そう思いたい。

最近はついにエンティティリスト入りの影響を脱したのか、YMTC製NANDを搭載するSSDの価格がやや上昇しましたが、それでも激安であることには変わりなく。
再取得のできるゲームのダウンロードデータや生成AIのモデルを置くとか、バックアップ体制を用意したうえでNASのフロントに置くとか、耐久性に信を置かない使い方であれば、とても有用だと思います。

セール時はがっつり安くなりますし、「NM790」はおすすめです。

関連リンク

おまけ

HD Tune Proでは2台の「NM790」が同じ表記で、どっちが計測対象か分からないという罠が。

fid情報のテキスト版。スクリーンショットじゃなくてテキストでシェアして!って書かれていたので。

Maxio NVME SSD fid v0.34a by Ochkin Vadim
OS: 10.0 build 22621
 0: (Lexar SSD NM790 4TB
 1: (Lexar SSD NM790 4TB
Please select drive number:1
Drive   : 1(NVME)
Scsi    : 2
Driver  : W10
Model   : Lexar SSD NM790 4TB
Fw      : 12237
HMB     : 40960 - 40960 KB (Enabled, 40 M)
Size    : 3907018 MB [4096.8 GB]
LBA Size: 512
Firmware id string[0C0] : MKSSD_101000000122373100,May 22 2023,14:51:38,MAP1602,1SSYBB5C
Project id string[080]  : r:/Congming_Hao/MAP1602-X3-9070-4T-SN11853-Base-SN12237
Controller              : MAP1602
NAND string             : CYAxxTE1B1xC3B
List may not be complete
Ch0CE0: 0x9b,0xc6,0x59,0x71,0x30,0x0,0x0 - YMTC 3dv4-232L(x3-9070) TLC 16k 2048Gb/CE 1024Gb/die
Ch1CE0: 0x9b,0xc6,0x59,0x71,0x30,0x0,0x0 - YMTC 3dv4-232L(x3-9070) TLC 16k 2048Gb/CE 1024Gb/die
Ch2CE0: 0x9b,0xc6,0x59,0x71,0x30,0x0,0x0 - YMTC 3dv4-232L(x3-9070) TLC 16k 2048Gb/CE 1024Gb/die
Ch3CE0: 0x9b,0xc6,0x59,0x71,0x30,0x0,0x0 - YMTC 3dv4-232L(x3-9070) TLC 16k 2048Gb/CE 1024Gb/die

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