2019年5月6日、半導体メーカーのMarvell Technology Group(NASDAQ:MRVL)が、格安10GbEチップで知られるAquantia Corporation(NYSE:AQ)を買収することを発表しました。
Marvellって?
1995年に設立した、アメリカ・カリフォルニア州サンタクララに本拠を置く、ファブレス半導体メーカーです。
アメコミの「Marvel」とはまったく関係ありません(綴りも違います)。
初期はストレージ製品を手がけ、現在は組み込み向けやコンシューマー向け製品、ネットワーク・モバイル・ワイヤレス製品など、多岐にわたって手がけています。
自作PC界隈ではSATAコントローラーチップのメーカーとして知られています。
覚えている人は少ないかもしれませんが、2010年に玄人志向から発売されたACアダプタサイズのLinuxマシン「玄柴」のベースがMarvellの「SheevaPlug」です。
SBC(シングルボードコンピューター)界隈では、ARMADAシリーズのメーカーといえば伝わるんじゃないでしょうか。
がじぇっとりっぷでも過去に搭載製品を紹介しています。
一般的にはiPhone(初代)、iPhone 3G、iPhone 3GSの無線LANチップを担当したといえば「へぇ〜」となるでしょう。
2016年の売上高は23億ドルですが、2017年にデータセンター向け製品のCaviumを60億ドルで買収しています。
Aquantiaって?
2004年にアメリカ・カリフォルニア州サンノゼで設立された、ネットワーク技術専門の企業です。
2016年には世界で初めて銅配線1レーンで100Gb/sを実現したりと、高速ネットワーク技術に秀でています。
一般的には格安10GbE NICに搭載されるチップのメーカーとして知られています。
どれだけ使われているかというと、下記の製品は全て10GbEにAquantiaのチップを使っています。
がじぇっとりっぷが所有する10GBase-TボードもAquantiaです。
QNAP QM2-2P10G1T (10GBase-T + M.2×2)
QNAP QNA-T310G1S (Thunderbolt3 to 10GBase-Tアダプタ)
買収内容について
MarvellはAquantiaの株式を一株あたり13.25ドル、総額4億5,200万ドルを現金で取得します。
これを受けて、2019年5月3日終値で9.56ドルだったAquantia株が、5月6日終値では12.95ドルまで跳ね上がっています。
買収の目的は銅及び光PHY(物理層)におけるMulti-Gig(2.5G/5G/10G)技術の補完と、Aquantiaの持つ車載ネットワーク技術です。
車載ネットワーク技術はMarvellの持つ技術とを合わせることで、レベル4及びレベル5の自動運転を実現するのに必要なネットワーク速度を得ることで、車載ネットワーク分野でのシェア拡大を狙っています。
まとめ
10GbEチップメーカーはそれほど多くなく、Intel、Bloadcom、Aquantia、Marvellなどがコンシューマー向け製品を発売しています(あと、はっきりとは分かりませんでしたが、NECやCiscoも持っているはず)。
今回の発表では10GbEについてはあまり触れられていません。
前述の通り、自作PC向けとか周辺機器レベルだと圧倒的にAquantiaを採用した製品が多く、この辺りにどう影響するのかが心配です。
関連リンク
Marvell to Acquire Aquantia – Accelerating Ethernet Technology Leadership – Aquantia ※英語
Marvell to Acquire Aquantia – Accelerating Ethernet Technology Leadership – Marvell ※英語、同じ内容
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