2021年1月7日、マイコンメーカーのShenzhen LC Technologyから、Allwinner H3を搭載した安価なSBC「CherryPi PC V7」が登場しました。AliExpressでの販売が確認されています。
CherryPi PC V7:AliExpress
スペック
モデル名 | CherryPi PC V7 |
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メーカー | Shenzhen LC Technology |
発売日 | 2021/02 |
価格 | 16.5ドル(512GB) 18.5ドル(1GB) 24.8ドル(Wi-fi) 28.2ドル(eMMC) |
価格(日本円) | |
CPU | Allwinner H3(4コア) (1.3GHz A7 x 4) |
GPU | Mali-400 MP2 (600MHz) |
NPU | – |
メモリー | 512MB/1GB DDR3 |
サポートOS | Android 4.4 Ubuntu Debian |
有線LAN | 100MbE x 1 |
Wi-fi | 802.11 b/g/n |
Bluetooth | |
チップ | RTL8189 |
ストレージ | 8GB eMMC microSD |
USB | 2.0 x 2 |
GPIO | 40pin x 1 |
映像 | HDMI CVBS |
カメラ | MIPI-CSI x 1 |
オーディオジャック | |
その他インターフェース | IR receiver mic UART |
消費電力 | |
電源 | 5V (Type-C) |
幅 | 85mm |
奥行き | 56mm |
高さ | |
その他 |
特徴
Shenzhen LC technologyというのは初耳でしたが、サイトを見る限りではマイコンに強みのあるメーカーのようで、製品一覧にはSTM32やESP32、ESP8266、Cortex-M0などを用いたマイコンボードが多数掲載されていました。
「CherryPi」シリーズはそんなマイコンメーカーが新規にSBC分野に進出した最初の製品となるようです。
ニュースリリースを見ると同日に「CherryPi Allwinner V3S」「CherryPi PC H6」が発表されていますが、発売されたのは記事執筆時点では「CherryPi PC V7」のみとなります。
「CherryPi PC V7」はSoC(System on Chip)にAllwinner H3を搭載しています。1.3GHz駆動のクアッドコアCortex-A7で、同SoCを搭載するSBCにはFriendlyElecの「NanoPi R1」や「NanoPi nEO」、「ZeroPi」などがあります。
かなり小型のSBCに使われている印象があるAllwinner H3ですが、「CherryPi PC V7」はラズパイサイズの85×56mmと大きな代わりに、削られやすい映像周りのインターフェースをしっかり載せてきています。
ブロックダイアグラム図を見ればわかりますが、Allwinner H3はGPUにMali-400 MP2を搭載しているし、HDMI出力にも対応しているんですよね。
Mali-400 MP2は、最後の数字がコア数を表していて、1コアなMali-400 MPを搭載していたのが「GALAXY S II」と言えば少しは通じるでしょうか。2011~2012年頃のハイエンドスマホ程度のグラフィック能力ということです。
なお、Cortex-A7は2011年、Mali-400は2008年の発表で、それらを搭載したAllwinner H3は2014年とかなり古い、枯れたSoCになります。
メモリは512GBまたは1GBのDDR3、ストレージはmicroSDと、一部のモデルで8GB eMMCを搭載します。
Wi-fiはRTL8189なので802.11 b/g/n(Wi-fi 4)ですね。
▲インターフェースです。
映像出力はHDMI(4K@30Hz対応)の他に、CVBS TV Outも使えます。
USBは2.0が2ポート、映像入力としてMIPI-CSIを備えていて、割とラズパイなどと近い使い方ができそうです。また、GPIOはラズパイ互換です。
電源入力はType-C入力なので、この辺りは新しい感じですね。
▲斜めから見るとこんな感じです。
この画像はeMMCなし版なので、パターンがそのまま見えています。
▲メーカーサイトにあった用途のイメージ
映像入力を持っているのでロボットや顔認証システムは意外とありかもしれません。
まとめ
「CherryPi PC V7」を調べていくと、どうも「Orange Pi Pc Plus」のクローンと呼んでもいい代物のようです。
Facebookの「Orange Piグループ」(プライベート)では、「Orange pi pc plus」用のイメージがそのまま動いたという情報もあるようです。
「CherryPi PC V7」はAliExpressで4モデルが発売されており、価格は以下のようになっています。
メモリ512MB :16.5ドル
メモリ1GB :18.5ドル
メモリ1GB/Wi-fi :24.8ドル
メモリ1GB/Wi-fi/8GB eMMC:28.2ドル
同じSoCを搭載する製品だと「ZeroPi」がメモリ512MBで9.9ドル、NanoPi R1はメモリ512MBで25ドル、メモリ1GB/8GB eMMCが32ドルとなっています。
ただしどちらも小型な分映像系インターフェースやGPIOがなく、一概に比較はしづらいです。
20ドル以下でHDMI出力を持ったSBCは意外と少なくて、がじぇっとりっぷが調べた範囲では現行で購入できるのは「Orange Pi Zero 2」くらいです。
性能面では「Orange Pi Zero 2」の方がかなり上ですが、CSI(映像入力)とeMMCに対応していません。
こうしてみると、「CherryPi PC V7」はありそうでなかったところをうまく突いた製品と言えますね(もっと上の価格帯だとラズパイが上位互換になりますけどね)。
関連リンク
CherryPi PC V7:公式サイト
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