2021年8月26日、SBCメーカーのSinovoipはRockchip RTK3568を搭載した5ポートLANのルーターボード「Banana Pi BPI-R2 Pro」を発表しました。
wiki情報はちまちま更新されていたのですが当初より仕様が結構変更されており、2022年2月に新バージョンのサンプルボードが完成、OSイメージも公開されて発売は近いと思われます。
リリースノート Banana Pi BPI-R2 Pro smart router board with Rockchip RK3568 chip:Banana Pi forum
※2022年5月19日追記:AliExpressで販売されていることを確認しました。
スペック
■ Banana Pi BPI-R2 Pro | |
CPU | Rockchip RK3568 4コア A55 |
---|---|
メモリ | 2GB LPDDR4 |
ストレージ | 16GB eMMC SATA microSD |
インターフェース | USB 3.0×2 HDMI 1GbE WAN×1 1GbE LAN×4 microSIM オーディオジャック |
wi-fi | M.2 Key-E |
電源 | 12V@2A microUSB |
サイズ | 148×100.5mm |
モデル名 | Banana Pi R2 Pro |
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メーカー | Sinovoip |
発売日 | |
価格 | |
価格(日本円) | |
CPU | Rockchip RK3568 (4コア) (1.8GHz A55 x4) |
GPU | Mali-G52 2EE |
NPU | 0.8TOPS |
メモリー | 2GB LPDDR4 |
サポートOS | Android Ubuntu Debian OpenWRT |
有線LAN | 1GbE x5 |
Wi-fi | M.2 Key-E |
Bluetooth | |
チップ | MT7531BE RTL8211F |
ストレージ | 8GB eMMC SATA x1 microSD(256GBまで) |
USB | 3.0 x 2 2.0 x 1(micro) |
GPIO | 40pin x 1 |
映像 | HDMI(2.0) eDP MIPI-DSI ×2 |
カメラ | MIPI-CSI |
オーディオジャック | ○ |
その他インターフェース | miniPCIe x 1 microSIM x 1 IR Receiver |
消費電力 | |
電源 | DC 12V/2A (外径5.5mm 内径2.1mm) |
幅 | 148mm |
奥行き | 100.5mm |
高さ | |
その他 |
特徴
「BPI-R2 Pro」は2017年3月に登場した「BPI-R2」の後継機という位置づけです。
サイズや端子位置は極力変更せず、ボード上インターフェースはがっつり変更されています。
SoCについて
「BPI-R2 Pro」はSoCにRockchip RK3568を採用しています。
構成としては4コアのCortex-A55に、GPUはMali-G52 2EE、さらに0.8TOPSのNPUも搭載しています。
RK3568は2020年11月に開催されたRockchip Developer Conference 2020で発表されたSoCで、AI向けNPUを内蔵した、AIoTプロセッサという位置づけになります。
「BPI-R2 Pro」のwikiページでは主にタブレットPC、画面付きスピーカー(Echo Showとか?)、Android penなどのコンシューマー製品および、顔認証POSレジ、Eブック、クラウドターミナル、ビデオ電話、NASストレージなどの産業製品向けにカスタマイズされていると記載されています。
…一応、クラウドターミナルあたりが「BPI-R2 Pro」に当てはまるのでしょうか?
がじぇっとりっぷが紹介した中ではRadxa「ROCK 3A」、Firefly「ROC-RK3568-PC」が同SoCを搭載しています。
性能面ではGeekBenchスコアは弟分のRK3566(CPU部は同じ)がRaspberry Pi 4に搭載されるBroadcom BCM2711とほぼ同等で、0.8TOPSのNPUを搭載している分、AIoT用途にはRK3566/RK3568に分がありそうです。
参考 February Update: Show and Tell:Pine64
…ルーターボードにNPUが必要なのかはさておいて、このNPUはCaffe/TensorFlow/TF-Lite/ONNX/PyTorch/Keras/Darknetなど主要な機械学習アーキテクチャで使用できます。
メモリとストレージ
メモリは2GB LPDDR4で固定ですが、一応オプションとして4GBも用意されるようです。
ストレージは16GB eMMC。こちらもオプションで最大64GBまで変更できます。
他にはmicroSDカードスロットとSATAスロットが1ポート用意されています。
SATAは「BPI-R2」の最大2ポートから1ポートに減った代わりに市販のSATA一体化ケーブルに対応したことで、使いやすさが上がっています。
その他
「BPI-R2 Pro」はM.2 Key-Eスロットを持ち、Wi-fiカードなどに使用することができます。
また、miniPCIeスロットも持っているのでこちらは4G/LTEカードなどに使えます。ボード上にはmicroSIMスロットも用意されています。
ルーターボードゆえに有線LANは合計5ポート。
RK3568は2ポート分の1GbEを持っているので、WANとLANで1ポートずつ使っているようです。
WANはRTL8211Fチップ、LANは「BPI-R64」と同じMT7531BEスイッチチップを使って4ポートに分岐させています。
電源はDC12V@2AかmicroUSB給電とされていますが、microUSBはデバッグ用UARTポートらしい(右下にもUARTはあるのに…)ので、実際に給電に使えるのかは不明です。
この辺りはまだ情報が整理しきれていない感じです。
OSはAndroid 11、Ubuntu 21.04、Debian 10、OpenWRT-21.02がイメージファイルとして用意されています。
外観
インターフェースです。
映像系がHDMI、eDP、MIPI-DSI×2とやたら充実しています。3画面動作のデモも公開されています。
カメラインターフェースとしてMIPI-CSIを持っているので、カメラを接続すれば監視カメラ機能も持たせることができそうです。
その時はRK3568のNPUを使って顔認証とかもできるんじゃないかな。
CPU用ファンのホール位置を見ると、メモリとeMMCもまとめてヒートシンク下に置く構想のようです。
あと、さらっとオンボードマイクがあるのが気になっていたり。
ソフトを導入すればボイスアシスタントも使えたりするんですかね…?
新バージョンのボードをもとにした画像はほとんど公開されていなくて、こちらは旧バージョンです。
SATAの端子が違っていたり、ボタン電池の位置が違ったり、eDPがなかったりと、結構設計をやり直していることが分かります。
ついでに旧バージョンはLANチップもカニさんマーク(Realtek RTL8367)ですね。
ケースも用意されています。
というかこれ、「BPI-R2」用のメタルケースそのままですね。
まとめ
「BPI-R2 Pro」は記事執筆時点では未発売です。
と言っても新バージョンのサンプルボードがテスト中、OSイメージも公開されたことから発売は近いと思われます。
※2022年5月19日追記:AliExpressで販売を確認、価格は95ドル(約13,000円)です。
多機能化したことでコンセプトがブレブレになった感がぬぐえませんが、「BPI-R2」の置き換えとしては申し分ないですし、モバイルネットワークを介したホームルーターの構築を試せる面白いボードであることは確かです。
どちらかというと産業用途向けなのでしょうが、モバイルネットワークルーター、IoT制御、監視カメラなど、ある種のオールインワンデバイスとなるポテンシャルも秘めています。
十全に使いこなせる層はほんの一握りになりそうですが、刺さるところにはぶっ刺さりそうですね。
関連リンク
リリースノート:Banana Pi forum
Banana Pi BPI-R2 Pro:Banana Pi wiki
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