2022年10月28日、SBCメーカーのFriendlyELECはRockchip RK3588Sを搭載したSBC(シングルボードコンピューター)の「NanoPi R6S」を発売しました。
スペック
■ NanoPi R6S | |
CPU | Rockchip RK3588S |
---|---|
メモリ | 8GB LPDDR4X-2133 |
ストレージ | 32GB eMMC |
インターフェース | USB Type-C(給電)×1 USB 3.0×1 USB 2.0×1 2.5GbE 有線LAN×2 1GbE 有線LAN×1 microSDXC HDMI 2.1 |
wi-fi | なし |
サイズ | 90×62×1.6mm(ボード) 94.5×68×30mm(ケース込) |
重さ | 55.1g(ボード) / 262g(ケース込み) |
モデル名 | NanoPi R6S |
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メーカー | FriendlyElec |
発売日 | 2022/10 |
価格 | 119ドル |
価格(日本円) | |
CPU | Rockchip RK3588S (8コア) (2.4GHz A76×4 + 1.8GHz A55×4) |
GPU | Mali-G610 MP4 |
NPU | 6.0TOPS |
メモリー | 8GB LPDDR4x-2133 |
サポートOS | Android TV 12 Debian 10 Desktop FriendlyWrt 22.03 Ubuntu 22.04 LTS Desktop FriendlyCore Focal Lite |
有線LAN | 2.5GbE×2 1GbE x 1 |
Wi-fi | × |
Bluetooth | × |
チップ | RTL8125BG×2 RTL8211-CG HYM8563TS |
ストレージ | 32GB eMMC microSD |
USB | 3.0 x 1 2.0 x 1 |
GPIO | 12pin x 1 |
映像 | HDMI(2.1 8K/60Hz) |
カメラ | × |
オーディオジャック | × |
その他インターフェース | UART MASKボタン RTC IR Receiver |
消費電力 | |
電源 | Type-C 5~20V |
幅 | 90mm |
奥行き | 62mm |
高さ | |
その他 | 重量:55.1g 重量:262g(ケース込) |
特徴
「NanoPi R6S」は2022年5月に発売された「NanoPi R5S」の後継機…というよりは姉妹機くらいの位置づけになります。
モデル名 | NanoPi R6S | NanoPi R5S |
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発売日 | 2022/10 | 2022/05 |
価格 | 119ドル | 59ドル(2GB) 70ドル(4GB) |
CPU | Rockchip RK3588S (2.4GHz A76×4 + 1.8GHz A55×4) | Rockchip RK3568B2 (2.0GHz A55 x4) |
GPU | Mali-G610 MP4 | Mali-G52 MP1 2EE |
NPU | 6.0TOPS | 0.8TOPS |
GeekBench5 | 2800 | 433 |
PassMark (CPU) | 5998 | 1197 |
AnTuTu (v9) | 54万点 | 11.5万点 |
メモリー | 8GB LPDDR4x-2133 | 2/4GB LPDDR4X |
有線LAN | 2.5GbE×2 1GbE x 1 | |
ストレージ | microSD 32GB eMMC | 8GB eMMC microSD(~128GB) M.2 NVMe(2280) |
映像 | HDMI(2.1 8K/60Hz) | HDMI(2.0 4K/60Hz) |
USB | 3.0 x 1 2.0 x 1 | 3.0 x 2 2.0 x 1(pin) |
電源 | Type-C 5~20V | DC 5V/3A(Type-C) |
見た目的には似ていて、デュアル2.5GbE+1GbEという点は共通していますが、価格はほぼ2倍で性能は5倍以上違います。
一方でM.2 SSDを搭載できるのは「R5S」だけなので、完全な上位互換というわけでもありません。
SoC
「NanoPi R6S」が搭載するRK3588Sは、無印RK3588の小型版(物理的に小さい)で、CPU/GPU/NPUはそのままながら、インターフェース周りが簡素化されています。
RK3588S搭載SBCは、国内ではKhadas「Edge 2」がいち早く発売されました。
スペック表によると、CPU構成は4コア 2.4GHz Cortex-A76+4コアの1.8GHz Cortex-A55、GPUはMali-G610 MP4とされています。
RK3588S | RK3588 | |
---|---|---|
CPU | Cortex A76 ×4 Cortex A55 ×4 | |
GPU | Mali-G610 MP4 | |
NPU | 6TPOPS | |
メモリ | LPDDR4x/LPDDR4/LPDDR5 最大32GB | |
映像出力 | HDMI 2.1/eDP ×1 DisplayPort ×1 MIPI DSI ×2 | HDMI 2.1/eDP ×2 DisplayPort ×2 MIPI DSI ×2 |
映像入力 | 48MP ISP MIPI CSI 4×2lane DVP | 48MP ISP MIPI CSI 4×2lane DVP HDMI-IN (4K/60Hz) |
ネットワーク | 1GbE ×1 | 1GbE ×2 |
USB | USB3.1 Gen1(OTG) ×1 USB3.1 Gen1(HOST) ×1 USB2.0 (HOST) ×2 | USB3.1 Gen1(OTG) ×2 USB3.1 Gen1(HOST) ×1 USB2.0 (OTG) ×2 |
PCIe | – | PCIe 3.0 x4 |
Combo PIPE | 2ポート | 3ポート |
低速I/O | SPI ×5 I2C ×9 UART/GPIO ×10 12bit ADC CAN bus ×3 | SPI ×5 I2C ×9 UART/GPIO ×10 12bit ADC |
サイズ | 17×17mm | 21.45×21.45mm |
参考 RK3588S データシート:CNS Software ※PDF
性能比較としては”S”なしRK3588のものになりますが、Snapdragon 855の2倍、Snapdragon 888のちょっと下くらいで、AnTuTu(v9)では54万点を叩き出しています。
GeekBench5では2000点オーバー。近いのはCore i3-1005G1で、旧世代のSBCでよく使われていたRK3399比だと、ざっと3倍です。
サンプル数は2しかありませんが、PassMarkスコアは5998なのでCeleron N5095(スコア4000)よりも高性能で、Core i5-8250U(スコア5905)と同等だったりします。
なんというか、性能上がりすぎでは…?
そのうえで6TOPSのNPU(AI学習向けコア)を持っているので、過去のSBC向けSoCは全く太刀打ちできません。
参考 GeekBench4 Search
参考 GeekBench5 Search
参考 PassMark – Rockchip RK3588
参考 Rockchip RK3588 benchmarks:CNX Software
※2022年11月7日追記:Twitterなどで言及が増えているので補足しておきますが、「NanoPi R6S」が搭載するのはHDMI-INのない”S”付きのRK3588Sです。HDMI-INのあるRK3588とは別物なので注意してください。
HDMI-INのあるRK3588搭載機としては「Rock 5B」があります。
メモリとストレージ
メモリは8GB LPDDR4-2133。NanoPiシリーズとしては珍しく、バリエーションはありません。
まぁ、RK3588Sの処理能力を必要として、でもメモリは少なくていいというパターンは多くないと思いますし、メモリも性能も多くを必要としない場合は「R5S」があるので、こうなったのでしょう。
ストレージは32GB eMMC。
microSDスロットもあり、どちらからもOS起動できます(優先順位はwiki参照)。
その他
無線LANは非搭載。USBドングルで対応はできますが、使えるかどうかはカーネルとドライバの対応次第となります。
有線LANは1GbE+デュアル2.5GbEの3ポートです。
2.5GbEは「R5S」と同じRTL8125BGチップなのですが、「R5S」では2.1Gbpsだったのに、「R6S」では2.35Gbpsとなっています。
処理能力の差ですかね?
電源はUSB PDに対応、5~20Vの入力が可能です。
「R5S」は5Vオンリーだったので、地味ですが重要な変更と言えます。
OSはAndroid TV 12、Debian 10、FriendlyWrt(OpenWrtのカスタム) 22.03、Ubuntu 22.04、FriendlyCore Focal Lite(Ubuntu 20.04のカスタム)に対応。
Android 12ではなく、Android TV 12ってとこがミソです。
スマホやタブレットの延長ではなく、据え置き機であることが強調されています。
OSのインストール方法も少しアップデートされて、friendlywrtはブラウザ経由(要microSD)でインストールできるようになっています。
他のOSは従来通り、PCと直接接続か、microSD経由でのインストールです。
「NanoPC-T4」の経験では、microSD経由でeMMCにインストールする方法が一番簡単です。
外観
インターフェースです。
トリプルLANにメモリが2チップでかなり窮屈な印象を受けます。
USBの片方がUSB2.0になっているのはちょっと残念なところ。
HDMIはHDMI 2.1(8K/60Hz)に対応していますが…表示デバイスをそろえる方が大変ですね。
ケースも用意されています。
見た目的には「R5S」そっくりですが、インターフェース配置が微妙に異なっているので流用はできません。
ケース内部はこんな感じで、ボード形状に合わせて作られています。
なお、RK3588Sは高性能すぎて、高負荷時にはケースを付けても70度近くになるようです。
まとめ
「NanoPi R6S」の価格は119ドル(約17,500円)。ケースはプラス20ドルです。
…なんか随分と安いような…?
「NanoPi R5S」の59ドルと比較すれば高いものの、Core i5-8250U並みのCPU性能でメモリ8GBで1GbE+デュアル2.5GbEでケース込みで2万円以下は、格安ミニPCすら余裕で蹴散らせる内容です。
ストレージ面が弱いのがネックですが、ちょっとした…ではなくそれなりに本格的なサーバーとしても十分使えますし、高速ネットワークを生かしてストレージ分離型の分散サーバーに仕立てるのも良さそうです。
いやこれ、普通に人気出そうだなぁ…
関連リンク
NanoPi R6S:FriendlyELEC
NanoPi R6S:FriendlyELEC Wiki
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