2023年2月15日、URVEはRockchip RK3566を搭載するSBC(シングルボードコンピュータ)「Board PI」を発表しました。
スペック
■ Board PI | |
CPU | Rockchip RK3566 |
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メモリ | 2GB LPDDR4 |
ストレージ | 8GB eMMC M.2 SSD(Gen2.0) |
インターフェース | TypeーC(電源)×1 USB 3.0×1 USB 2.0×3 HDMI microSDXC 1GbE 有線LAN オーディオジャック |
wi-fi | 802.11ac+BT4.2 |
サイズ | 85×56mm |
特徴
URVEはポーランドの企業向けデバイスを手掛けるメーカー、EVEOが展開するブランドです。
デジタルサイネージの表示端末とプレーヤー、管理ソフトなどがメインのようで、SBCは管理端末の製造から派生したっぽい雰囲気です(社歴が見当たらなかったので推測です)。
参考 EVEO 公式サイト
SBC専業ではないものの、公式サイトにあるだけでも10製品がラインナップされていて、結構力を入れていることが伺えます。
また、B2Bメインなせいか、サポートがしっかりしていそうなところも好印象です。
「Board PI」の特徴としてはインターフェース配置をRaspberry Pi 3互換としています。
「Raspberry Pi」シリーズは入手が大変になっているので、こうして互換品が出るのはありがたいですね。
SoCについて
「Board PI」のSoCはRockchip RK3566です。
最近紹介した製品だとTECLAST「P25T (2023)」に搭載されています。
構成としては4コアのCortex-A55(1.8GHz駆動)に、GPUはMali-G52 2EE、さらに0.8TOPSのNPUも搭載しています。
性能面について、CPU性能はラズパイ4のBCM2711とほぼ同等。グラフィック部分は不明ですが、AI向けのNPUとインターフェースの多さはRK3566に分があります。
メモリとストレージ
メモリは2GB LPDDR4。最近のSBCとしてはちょっと物足りないですが、汎用IoTデバイスではなく、産業向け用途(リーフレットでは駐車場管理や自販機、ロッカー管理などが挙げられています)を想定しているので、必要以上には積まないという方針なのでしょう。
ストレージは8GB eMMC。こちらも少ないですが、単一用途のソフトを動かすだけなら十分です。
増設はmicroSDとM.2 NVMe SSD(2242)サイズに対応しています。
その他
無線LANはWi-fi 5(802.11ac)に対応。Bluetoothは4.2です。チップの型番に関する記載はありません。
有線LANは1GbE。こちらはRTL8211F-CGとチップ型番が公表されています。
電源入力はType-C(5V/2A)。
いまどきのSBCとしては普通です。
公式ページには「Files」の項目があり、ユーザーマニュアル、Flashツール、OSイメージがダウンロードできます。
OSはAndroid 11とLinux Debian 11が対応しているとのことですが、ダウンロードできるのがimages.7zで、中身どっちだよ!?となりました。
うん、問い合わせしないとサポートはいまいちかもしれない。
外観
インターフェース類は「Raspberry Pi 3」準拠な端子配置です。
SSDを使うと、SoCはヒートシンクすら付けられそうにない気がしますが、大丈夫なんでしょうか?
というかですね。
これ、どう見てもBoardcon「Compact3566」と同じものですよね?
こっちが「Compact3566」の画像。
以前紹介したときからバージョンが上がったようで、チョークコイルの配置などが少し変わっています。
そして、抵抗の位置含めて「Board PI」とほぼ同じです。
実は1か所だけ、電源端子がmicroUSBからType-Cに変更されているというのが違いです。
よくよく見ていくと、公式サイトでラインナップされている他のSBCもどこかで見た覚えが…
まぁどっちかというと、ソフトウェアを含めたエコシステムがウリっぽいので、ボード自体はOEMなんでしょうね。
話をボード外観に戻して、長辺のインターフェースです。
電源端子がType-Cになっていることが分かります。
短辺はUSB3.0×1+USB2.0×3。黒い端子はUSB2.0 OTGです。
この角度で見ると、SoCには7mm高くらいのヒートシンクなら付けられそうですね。
まとめ
「Board PI」の価格は、探した範囲ではアンテナ付きで90ドル(約12,300円)です。ユーロ圏だと94.95ユーロ(約13,700円)ですね。
コンシューマー向けで2GB/8GBと考えると高いものの、ラズパイ3の置き換えを考えていて、さらに(問い合わせ前提の)産業向けのサポートが付くと考えればこんなものかなぁと。
元となった「Compact3566」は価格要問合せなので、価格が分かるだけましという見方もできます。
まぁ、ラズパイ3互換にこだわる必要のないコンシューマ向けだと、より強力なRK3588Sを搭載した「Orange Pi 5」がAliExpressにおいて4GBで75ドル(+送料10ドル)、8GBで90ドル(+送料10ドル)、16GBで120ドル(+送料10ドル)という嘘みたいな価格で無双しているので、進んで買おうって人はいないんじゃないかなぁ……
ちょっと上位のRK3568を搭載した「NanoPi R5S」も4GBで70ドル(送料別)ですし、サポート費用の有無って大きいですね。
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