モバイルモニターの定番サイズと言えば15.6インチ、次いで14インチ、13.3インチ、17.3インチと続きます。
ところが最近、18.5インチというサイズが登場、各社から発売されるようになりました。
その流れを受けてか、Innoviewも18.5インチサイズの「INVPM501」を発売。
がじぇっとりっぷも19インチ程度のモニターを探していたということもあって、今回のレビューに至りました。
機材を提供いただいたInnoView様にはこの場をお借りして御礼申し上げます。
Innoview INVPM501
■ INVPM501 | |
画面サイズ | 18.5インチ |
---|---|
解像度 | FHD(1920×1080) |
表示色 | 1677万色(8bit) |
輝度 | 300cd/m2 |
色域 | 120% sRGB |
リフレッシュレート | 100Hz |
インターフェース | miniHDMI USB Type-C(データ/給電)×2 オーディオジャック |
サイズ | 304×205×20mm |
重さ | 1,245g |
GoodPoint
✔ 画面が広い
✔ 前面無地
✔ 相変わらずスタンドが便利
✔ 広色域・高リフレッシュレート
✔ 24インチQHDモニターと相性良し
BadPoint
✖ 画面がやや暗め
✖ カバーなし
外観
外箱
外箱はいつもと変わらない感じのシンプルデザイン。
パッケージ
・Type-C to Type-C ケーブル
・Type-C to Type-C ケーブル(電源用)
・HDMI to miniHDMI ケーブル
・クリーナークロス
・マニュアル
・保証書
付属のケーブルは3種類。HDMI to miniHDMI ケーブルにType-Cケーブルが2本。
Type-Cケーブルの片方(コネクタが黒い方)は電源専用で、以前のモデルではA to Cケーブルだったものが、C to Cケーブルに変更されました。
なんか間違えそうだなぁと思いませんか?
安心してください。しっかり間違えました。
あれ?映らない…?と思って見たらぴろんと「電源専用」のタグが付いていたという。
また、大型ディスプレイとなって消費電力も増えたので、電源アダプタは30W出力に強化されています(15.6インチ付属品は18Wだった)。
紙類は3種類。
グローバル仕様の多言語ではなく、日本語オンリーの国内向け専用です。
ただしマニュアルの日本語はいわゆる中華フォントが使われています。
がじぇっとりっぷも最近まではそんなものと流していましたが、「放置すると世界的にこれが”正しい日本語の漢字”と思われるようになる」という意見を見てからは、指摘することにしています。
本体
本体は前面無地。
余計なものがないので、どんな環境にも合わせやすくなっています。
スタンド
「INVPM501」はこれまでの大半のInnoView製品と同じく、U字スタンドを備えています。
U字スタンドは無段階で、最大180度まで開きます。今までの製品では開いたときにほんの少し浮いていましたが、「INVPM501」はぴったりと180度になりました。
ちょっとしたことですが、きっちり改良されていることが分かりますね。
背面にはVESA穴(75×75mm)があり、ディスプレイアームを使うこともできます。
サイズが大きいからか、接地面のゴムは14/15.6インチの3点から5点に変更されています。
変わった使い方としては、スタンドを開いてフック等にひっかけると、簡易的な壁掛けディスプレイにもできます。
ただ、スタンドフレームがストレートなので、うまくやらないとフックが滑ります。
スタンドフレームにフックが引っかかるくぼみがあると、もっと良かったかも。
インターフェース
インターフェースは一般的なモバイルモニターと同じく、左サイドにType-C×2+miniHDMI、右側に操作系となっています。
OSD操作はダイアルではなく、ボタン3つスタイル。
過去にレビューしたInnoView製品はいずれもダイアル式だったので、これは意外でした。
ベゼル幅は6.0mm。
「INVPM204」の4.6mmに比べると太くなっていますが、画面が大きくなっているので太さは感じません。
ちょっと困ったのがこれ。
下が本機(INVPM501)、上が「INVPM001」なのですが、インターフェース位置が真ん中寄りに移動しています。
結果、手持ちのU字アダプタが入らなかったという。
ケーブルを見せない表示を考える場合には、変換アダプタの選び方も考える必要がありそうです。
重量
重量は1,245gとやや重め。
といっても同程度のサイズのモニター(2.5~4kg程度)と比べれば十分軽く、モバイルの範疇と言えます。
他のサイズと比較
14インチの「INVPM204」、15.6インチの「INVPM001」と並べてみる(左端を揃えています)と、サイズ感はこのくらい。
15.6インチとは2.9インチ差ですが、並べるとかなり差がありますね。
使ってみて
OSD
OSDは左下に表示。
リフレッシュレート100Hzで接続できていることが分かります。
内容的には「INVPM001」などと変わりません。
パネルについて
比率 | カバー率 | |
---|---|---|
sRGB | 120.0% | 99.4% |
Adobe RGB | 88.9% | 82.8% |
DCP-P3 | 88.4% | 88.3% |
NTSC | 85.0% | 79.7% |
色域実測はsRGB比120.0%と仕様通りの数字。いや、普通に驚きです。
例えば「INVPM406」は仕様の80%に対し実測では70.9%と低かったので、同じように多少低く出るかと思っていました。
ガンマ特性はやや青が弱いものの、まっすぐで歪みの少ない線を描いています。
斜め表示はかなり暗め。
リフレッシュレートについて
「INVPM501」の最大リフレッシュレートは100Hz。
最近は高リフレッシュレートのモバイルモニターも増えているとはいえ、基本は60Hzなので高速よりです。
というわけで、簡単にUFO Testで確認。60Hzと100Hzに設定し、UFOの速度は960pixel/s、シャッタースピードは1/1000秒です。
それぞれ何回か撮影しているのですが、60Hzの方は2フレーム分がはっきりとしていて、100Hzは残像感がはっきりと違います。
100Hzの方が色が薄いのはシャッターのタイミングもありますが、点滅速度が速く、ピーク輝度に達する前に暗くなり始めていることが考えられます。
輝度について
明るさ | 輝度(cd/m2) |
---|---|
100 | 248 |
80 | 231 |
60 | 208 |
40 | 167 |
20 | 110 |
0 | 27 |
「INVPM501」の明るさは仕様上は最大300cd/m2とされていますが、実測では250cd/m2にも届きませんでした。
とはいえ画面が暗いということはなく、明るさ80~100でちょうどいい感じです。
消費電力について
USB PD充電器 with ワットチェッカー+HDMIの組み合わせで、消費電力を計測しました。
なお、消費電力には電源アダプタ内で消費される分も含まれています。
明るさ | 消費電力 |
---|---|
100 | 13.5W |
80 | 13.2W |
60 | 12.4W |
40 | 11.0W |
20 | 9.1W |
0 | 6.2W |
電源だけ | 0.6W |
「INVPM001」の10.3W(明るさ100)、「INVPM406」の7.9W(同)に比べて、さすがに消費電力が増えています。
映像出力に対応したスマホなどと合わせて使う場合は、電源アダプタを接続したほうがいいかもしれません。
一般的に電源アダプタの電力効率は、定格の50~60%付近が最大となるので、付属のアダプタが30Wというのは適当な数値であると言えそうです(「INVPM501」はUSB OTGがないので24Wでも良かったかもしれませんが…)。
24インチQHDとの相性が抜群
がじぇっとりっぷはメインディスプレイにLG「24QP750-B」を使用しています。
23.8インチQHD(2560×1440)のディスプレイで、あまり一般的ではないのですが、100%表示がちょうどいい感じなので重宝しています。
感覚的には27インチ4Kで125%表示にしたよりも文字が少し大きいくらいです。
さてこの解像度。24インチ2.5Kと単純化すると、36インチ4K、あるいは18インチFHDが同じDPIとなります。
つまり、18.5インチFHDな「INVPM501」は24インチ2.5KとDPIが近く、相性がいいんですよね。
実際に並べてみたらこんな感じ。
24インチと18インチでなく、23.8インチと18.5インチなのでわずかにずれていますが、使っている分にはさしたる差はなく、ほぼシームレスに使うことができます。
まとめ
「INVPM501」の価格は記事執筆時点で24,699円(クーポン込)。
1.5万円くらいからある15.6インチに比べると、さすがに割高です。
とはいっても、18.5インチの広さというのは非常に大きいものであり、価格分のメリットはあると言えます。
さらに広色域・高リフレッシュレートという付加価値も付いていますし、値段には納得ですね。
もうちょっと頑張って120Hzあったらなぁとか、輝度がもうちょっと高ければ速い動きでもしっかり色が出るんじゃないかとか、そういうのは言い出したら切りがないですし、全部価格に跳ね返ってきます。
同程度の価格で120Hzというのは他メーカーから出ていますが、今度は色域が狭く、価格そのままに両立は難しそうです。
そう考えると、それなりの良スペックでまとめた本機はコストバランスがいいんじゃないかと。
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