2023年11月14日、SBCメーカーのHardkernelはRK3568を搭載したSBC「ODROID-M1S」を発売しました。
スペック

■ ODROID-M1S | |
CPU | Rockchip RK3566 |
---|---|
メモリ | 4~8GB LPDDR4 |
ストレージ | 64GB eMMC M.2 NVMe (PCIe2.1 x1) |
インターフェース | USB Type-C(電源)×1 USB 3.0×1 USB 2.0×1 microUSB×1 HDMI 2.0 microSDXC オーディオジャック |
wi-fi | Wi-fi 6+BT5.0 |
バッテリー | WHr |
サイズ | 90×65mm |
特徴
「ODROID-M1S」はタイトルにもある通り、過去に発売した「ODROID-M1」のSmall/SlimサイズなSBC(シングルボードコンピューター)です。

「ODROID-M1」のカスタマーフィードバックを受けてGPIOの追加、スリム化、低価格化、eMMCの標準搭載などを図っています。
SoCについて
「ODROID-M1S」のSoCはRockchip RK3566。
「ODROID-M1」に搭載されるRK3568の妹分に当たり、CPU部は共通、インターフェース周りが簡略化されています。
Rockchip RK3566 | Rockchip RK3568 | |
---|---|---|
CPU | Quad-core Cortex-A55 | |
GPU | Mali-G52 2EE | |
NPU | 0.8 TOPS | |
メモリ | DDR3/DDR3L/DDR4 LPDDR3/LPDDR4/LPDDR4X | |
ECC対応 | × | ○(DDR3/DDR3L/DDR4) |
ストレージ | NOR flash SPI NAND eMMC 5.1 SATA 3.0 8K OTP | NOR flash SPI NAND eMMC 5.1 SATA 3.0 x3 8K OTP |
映像出力 | デュアルディスプレイ | トリプルディスプレイ |
ネットワーク | Gigabit Ethernet (GMAC) x1 | Gigabit Ethernet (GMAC) x2 QSGMII |
USB | USB 2.0 host x2 USB 2.0 OTG x1 USB 3.0 host | USB 2.0 host x2 USB 3.0/2.0 OTG USB 3.0 host |
PCIe | PCIe 2.1 1×1 lane | PCIe 2.1 1×1 lane PCIe 3.0 1×2 lane or 2x 1-lane |
その他 I/Os | SDIO 3.0 UART x10 SPI x4 PWM x16 I2C x6 SARADC x2 | SDIO 3.0 UART x10 SPI x4 PWM x16 I2C x6 SARADC x8 CAN FD x3 |
パッケージ | FCCSP565L (15.5mm x 14.4mm) | FCBGA636L (19mm x 19mm) |
CPU部は4コアのCortex-A55、GPU部はMali-G52 2EE、そして0.8TOPSのNPU内蔵という構成になっています。
SBCではありませんが、RK3566搭載タブレットはレビューしているので、性能の参考になるでしょう。

メモリとストレージ
メモリは4GBまたは8GBのLPDDR4。動作周波数は1,055MHzとなんか中途半端な数字なので、DDR4-1866(933MHz)のオーバークロック版でしょうか。
ストレージは64GBのeMMC。
「M1」ではeMMCスロットの形で提供され、ユーザーがeMMCモジュールを別途購入することで容量を選ぶことができましたが、「M1S」では交換不可のオンボードとなっています。
まぁ、eMMCモジュールって安くはないし(Hardkernelの公式ストアだと64GBが29ドル)、ある程度の容量が確保されていたらオンボードでいいよねってなるのは当然の流れでしょう。
他に、microSDスロットとM.2 SSD(2280)スロット(PCIe 2.1 x1接続)を持っています。
その他
無線LANは非対応。
有線LANは1GbEで、チップは「M1」と同じRealtek RTL8211F。
電源はType-C入力で、5V/3Aまで。といってもメーカーの計測では消費電力はブート時(GbEとHDMI接続あり)で最大3.7W、ストレステスト時(HDMIもLANもなし)で3.2Wだったとのこと。
推奨では5V/3Aとされていますが、テストでは5V/2A出力のアダプタを使っていたようですし、USBデバイスをいくつもつなぐとか出ない限り、5V/2Aでもまかなえそうです。
OSはAndroid 11、Ubuntu 20.04/22.04に対応しています。
外観
2.LPDDR4 RAM
3.64GB eMMC embedded
4.Ethernet Transformer
5.RJ45 Ethernet Port (10/100/1000)
6.USB Type C Power Connector
7.USB 2.0
8.HDMI 2.0
9.USB 3.0
11.M.2 LED Indicator
12.Micro SD Slot
13.Micro USB2.0 OTG
14.40pin GPIO Pins Optional
15.14pin GPIO Pins Optional
16.RTC Backup Battery Connector
17.UART for System Console
18.M.2. M-KEY PCIe2.1 1Lane
インターフェースは、「M1」に比べてUSBなどが減っています。「M1」にあったSATAポート(と電源)もなくなりました。
代わりに、14ピンのGPIOが追加されています。
また、ボードに記載があるように、ODROIDブランドの15周年モデルでもあります。
インターフェースはこんな感じ。
LANポートはボード埋め込み式になって、全体の高さをかなり抑えています。
microSDは浅型のスロットでかなりはみ出します。ケース運用を想定して、公式ケース装着時にちょうど隠れる程度となっているようです。
幅が90mmなので、M.2 SSDはギリギリですね。
PCIe2.1 x1接続(片方向500MB/s)なので、低速なSSDで十分です。
ケース越しにMIPI-DSIを引き出して、8インチLCDに接続した図。
記事執筆時点では同じ形のクリアケースのみラインナップされています。
まとめ
「ODROID-M1S」の価格は以下の通り。
4GB・ピンヘッダなし:49ドル (約7,350円)
4GB・ピンヘッダあり:52ドル (約7,800円)
8GB・ピンヘッダなし:59ドル (約8,850円)
8GB・ピンヘッダあり:62ドル (約9,300円)
ケース:4ドル
「ODROID-M1」(ピンヘッダは標準搭載、eMMCなし)が4GBで70ドル、8GBで90ドルであることを考えると、相当に安くなっています。
まぁ当時は1ドル120円ちょっとだったので、日本円換算だと差が小さくなるのですが。
コンパクト化しつつ、インターフェースも必要な分は残し、M.2 SSDも装着可能。
方向性はやや違うものの、似たようなスペックを持つ「NanoPi R5S」はメモリ4GBで70ドルですし、コスパ面でも「ODROID-M1S」は優秀です。

フィードバックを反映して作ったというだけあってそつがなく、売れない要素がありません。
NPUを活用した画像認識とかもできますし、大量の画像データをため込むような組み込み系を中心に人気が出そうです。
関連リンク
ODROID-M1S(4GB):ODROID
ODROID-M1S(8GB):ODROID
ODROID-M1S:ODROID wiki
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