アーキテクチャは据え置き。モバイル向けRyzen 8000シリーズはAI強化に舵切り。2年半ぶりのAPUも登場

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2023年12月7日、AMDは同日に開催した「AMD Advancing AI」内の基調講演にて、Ryzen 8000シリーズ(コードネーム:Hawk Point)を発表しました。
また、2024年1月9日にはデスクトップ向けAPU、Ryzen 8000Gシリーズ(コードネーム:Phoenix)を発表しました。

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ラインナップ

モデル コア/スレッド数 ベースクロック Boostクロック GPU GPUコア数 GPUクロック NPU 合計TOPS L2キャッシュ L3キャッシュ TDP cTDP
Ryzen 9 8945HS 8 (16) 4.0 GHz 5.2 GHz AMD 780M 12 2.8 GHz 16 TOPS 39 TOPS 8MB 16MB 45W 35-54W
Ryzen 7 8845HS 8 (16) 3.8 GHz 5.1 GHz AMD 780M 12 2.7 GHz 16 TOPS 38 TOPS 8MB 16MB 45W 35-54W
Ryzen 5 8645HS 6 (12) 4.3 GHz 5.0 GHz AMD 760M 8 2.6 GHz 16 TOPS 31 TOPS 6MB 16MB 45W 35-54W
モデル コア/スレッド数 ベースクロック Boostクロック GPU GPUコア数 GPUクロック NPU 合計TOPS L2キャッシュ L3キャッシュ TDP cTDP
Ryzen 7 8840HS 8 (16) 3.3 GHz 5.1 GHz AMD 780M 12 2.7 GHz 16 TOPS 38 TOPS 8MB 16MB 28W 20-30W
Ryzen 5 8640HS 6 (12) 3.5 GHz 4.9 GHz AMD 760M 8 2.6 GHz 16 TOPS 31 TOPS 6MB 16MB 28W 20-30W
モデル コア/スレッド数 ベースクロック Boostクロック GPU GPUコア数 GPUクロック NPU 合計TOPS L2キャッシュ L3キャッシュ TDP cTDP
Ryzen 7 8840U 8 (16) 3.3 GHz 5.1 GHz AMD 780M 12 2.7 GHz 16 TOPS 38 TOPS 8MB 16MB 28W 15-30W
Ryzen 5 8640U 6 (12) 3.5 GHz 4.9 GHz AMD 760M 8 2.6 GHz 16 TOPS 31 TOPS 6MB 16MB 28W 15-30W
Ryzen 5 8540U 6 (12) 3.2 GHz 4.9 GHz AMD 740M 4 2.8 GHz 6MB 16MB 28W 15-30W
Ryzen 3 8440U 4 (8) 3.0 GHz 4.7 GHz AMD 740M 4 2.5 GHz 4MB 8MB 28W 15-30W

モデル コア/スレッド数 ベースクロック Boostクロック GPU GPUコア数 GPUクロック NPU 合計TOPS L2キャッシュ L3キャッシュ TDP cTDP
Ryzen 7 8700G 8 (16) 4.2 GHz 5.1 GHz AMD 780M 12 2.9 GHz 16 TOPS 8MB 16MB 65W 45-65W
Ryzen 5 8600G 6 (12) 4.3 GHz 5.0 GHz AMD 760M 8 2.8 GHz 16 TOPS 6MB 16MB 65W 45-65W
Ryzen 5 8500G 2+4 (12) 3.5/3.2 GHz 5.0/3.7 GHz AMD 740M 4 2.8 GHz 6MB 16MB 65W 45-65W

新要素

Zen2からZen4までが入り乱れたRyzen 7000シリーズから打って変わって、Ryzen 8000シリーズはすべてZen4となりました。

7000シリーズとの対応

Ryzen 8000シリーズとRyzen 7000シリーズの対応は以下のようになっています。
対応するモデルは動作クロックもそのままです。

cTDP 8000シリーズ 7000シリーズ
35-54W Ryzen 9 8945HS Ryzen 9 7940HS
Ryzen 7 8845HS Ryzen 7 7840HS
Ryzen 5 8645HS Ryzen 5 7640HS
20-30W Ryzen 7 8840HS
Ryzen 5 8640HS
15-30W Ryzen 7 8840U Ryzen 7 7840U
Ryzen 5 8640U Ryzen 5 7640U
Ryzen 5 8540U
Ryzen 3 8440U Ryzen 3 7440U

追加されたのは8040HSシリーズのTDP28W版と、Ryzen 5 8540U。
Ryzen 5 8540Uは内容的にはRyzen 3 8440Uの6コア版と言えるもので、内臓グラフィックも4CUのAMD 740Mとなっています。

また、デスクトップ向けコアをモバイル向けにパッケージングした7045HXの後継に当たるモデルは出ていません

AI性能の向上

Ryzen 8000シリーズの唯一の新要素と言えるのが、XDNAと呼ばれるNPUの性能向上
具体的には7000シリーズでは最大10TOPSだったものが、16TOPSに引き上げられました。

とはいえ、正直これもマイナーアップデートと言える範囲です。

開発者向けのドキュメント各種ツール、Ryzen AI上で動くサンプルモデルなどが公開されていて、開発環境については整っていると言えます。

既存のモデルについても、公開ツールを使って量子化・変換を行って、ONNX(Open Neural Network Exchange)ランタイムで実行することができるとのこと。

Ryzen APUの更新

デスクトップ向けのグラフィック内蔵CPU(AMDではAPUと呼ぶ)が、2年半ぶりに更新されました。
旧世代はRyzen 7 5700G(Zen3+Vega)だったので、一気に最新世代にモデルチェンジとなります。

8000Gシリーズ 5000Gシリーズ
CPUソケット AM5 AM4
製造プロセス 4nm 7nm
アーキテクチャ Zen4+RDNA3 Zen3+Vega
メモリ DDR5-5200/3600 DDR4-3200
PCIe Gen4 Gen3
NPU Ryzen AI なし
USB4 対応 非対応

CPUソケットがAM4からAM5に変更されているので、マザーボードの流用ができない点に注意が必要です。

今後の計画

Moore’s Law Is DeadがYouTubeでリークした情報によると、2025年までの計画は上の画像とされています。

大きく変わるのは2024年後半のStrix Pointから
アーキテクチャがZen5となり、現行の最大8コアが最大12コアに増えた上、内臓グラフィックは最大16CUのRDNA3.5に、NPUは45~50TOPSのXDNA2となって大幅性能アップが期待されます。
なお、最大12コアですが、内訳としてはZen5×4コア、Zen5c×8コアとなるようです。

新たに定義される「Elite Experiences」というAPUセグメントでは、16コアにグラフィックが最大40CUというとんでもないことになっていて、Apple M3 Max(16コアCPU、40コアGPU)を意識しているのではないかという噂も。

まとめ

モバイル向けのRyzen 8000シリーズはあまり目新しいものはなく、TDP28Wモデルが出たことと、NPUが性能アップしたことくらいでした。
これはこれでノートPCやミニPCへの8040HSシリーズの採用が増えそうですが、目新しいというほどではありません。

どちらかというと今回は一息ついた形で、2024年後半のStrix Pointからが本番と言えます。
ゲーミングUMPCなどは来年まで待った方がいいでしょう。

一方でデスクトップ向けはRyzen 8000Gシリーズが登場したことで、Ryzen 5000Gを使っていた層の世代交代が進みそうです。
例えばASRockは「DeskMini X600」および「DeskMeet X600」を発表していて、Gen5 SSDにも対応します。

Ryzen 8000Gは1月31日に発売していて4万円~6万円程度となっています。

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