【レビュー】Lenovo「ThinkCentre M75q-1 Tiny」はコスパのやばすぎるRyzenミニPC

PC

Lenovoは2018年7月にRyzen PRO 2200GE/2400GEを搭載した「ThinkCentre M715q Tiny」を、2019年12月にはRyzen PRO 3200GE/3400GEにアップグレードした「ThinkCentre M75q-1 Tiny」を発売しており、カスタマイズ次第でとんでもなく格安になることと、そのコストパフォーマンスの良さが一部界隈で話題になっていました。

今手に入るコンパクトRyzen。 Lenovo「ThinkCentre M715q Tiny」はNUCというよりMac miniサイズ
なにこのモデル名…? Lenovo「ThinkCentre M75q-1 Tiny」は「M715q Tiny」の後継機種

がじぇっとりっぷでも気になっていたのですが、2020年3月の楽天リーベイツでの”20%ポイント還元”を機に購入してみました。

還元率高いよ! 楽天リーベイツでLenovoとNECが20%ポイントバック中

実質3万円を切るのは驚異的でした。

ThinkCentre M75q-1 Tiny:Lenovo

2020年6月18日追記:メモリと電源を強化した、続きのレビューを公開いたしました。

【レビュー】Lenovo「ThinkCentre M75q-1 Tiny」の電源アダプタを変えたら爆速に…なりすぎでしょこれ
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ThinkCentre M75q-1 Tiny

CPURyzen 5 PRO 3400GE
メモリ8GB DDR4(2スロット)
ストレージ128GB(M.2 NVMe)
USBType-C×1、3.0×5
映像出力HDMI、DinsplayPort
有線LAN1GbE
wi-fiなし
電源65W
サイズ182×179×34.5mm

GoodPoint
小さいのにパワフル
内部アクセス性が良い
カスタマイズ性が残っている

BadPoint
USB3.2 Gen2は非対応
電源アダプタが足を引っ張っている

詳細スペックを見る
メーカーLenovo
型番ThinkCentre M75q-1 Tiny
発売日2019/12
価格37,290円(税込)
182mm
奥行き179mm
高さ34.5mm
容量1.124L
OSWindows 10 Home
CPURyzen 5 PRO 3400GE
CPU世代Zen+
TDP35W
チップセットAMD B300
メモリ8GB DDR4-2666
メモリスロット2
メモリ最大32GB
ストレージ128GB M.2 SSD
SATAポート数1
M.2Key-M(2280,NVMe)
Key-E(2230)
mSATA
USB2.0(内部)
USB2.0(外部)Rear x 3
USB3.0(内部)
USB3.0(外部)Front x 1(Gen1)
Rear x 1(Gen1)
USB type-CFront x 1(Gen1)
SDカード
LANRear 1Gb x 1
Wi-fi
Bluetooth
D-Sub
DVI
HDMIRear x 1
4K対応(HDMI)
DisplayPortRear x 1
4K対応(DP)
シリアルポート
S/PDIF
オーディオジャックFront x 2(in/out)
サウンドチップRealtek
光学ドライブ
PCI-Eスロット
eSATA
赤外線
Optaneメモリ対応
最大消費電力68W
電源65W
ノイズレベル
VESA
付属品USBキーボード
USBマウス
スタンド
その他

Lenovo で見る

外観

▲いわゆる”格安”構成で購入したので、中身はシンプルに本体と電源アダプタ、マニュアル類のみです。

▲やたらと箱がでかい(本体幅の倍くらいの横幅)です。

無駄じゃないの?とか思っていたのですが、考えてみれば元はキーボードが付くんですよね。
下のウレタンの入っているところがキーボードのスペースです。

▲本体です。

おおよそ18cm四方のサイズはNUCサイズほどではありませんが、相当小さいですね。

▲電源アダプタは65Wです。

▲前後のインターフェースです。

カスタマイズでHDMIとシリアルポートを付けましたが…使う機会があるのかは微妙なところ。
USBはすべて3.0(3.2 Gen1)です。10GbpsなUSB3.2 Gen2もありません。

▲サイドには吸気口が開けられています。

▲天面と底面です。

天面には何もなく、底面には大きなふたが付いています。

内部

▲天板はネジ一本外すことで開けられるようになっています。

▲内部は整然としています。

左側やや下にCPUがあり、シロッコファンからの風をヒートシンクに通して、下方(リア側)に排気します。
2.5インチベイはネジを使わずに固定されていて、真ん中のレバーを握ることで外せます。

▲フロント側のインターフェースです。

左側の銀色の部分には、Wi-fiアンテナが装着されるのですが…
このアンテナ、単体で販売されていないので、購入時は絶対にオプションに入れておくことをお勧めします。

どうせ802.11ax(Wi-fi 6)にするし、とか思ってオプションから外したのは本当に失敗でした…
一応、ポールタイプではないアンテナなども売ってはいますが、やっぱり純正の方が安心ですし。

スピーカーの右側には赤色LEDが上を向いて埋め込まれています。

▲電源を入れたときに、こんな感じで光ります。

Lenovo(IBM)の”Think”にかける気合は健在のようです。

▲オプションのシリアルポートとHDMIはこんな感じです。

ぶっちゃけ、オプションを付けたのはこの写真のためだけです。
レビューする人ってオプション外している場合が多くて、どんな感じで接続しているのかわからなかったんですよね。

▲HDDベイを外した下にはWi-fi用のM.2スロットがあります。

SATAは小さな端子で、リボンケーブルで接続されています。

▲メモリとM.2 SSDは底面からアクセスします。

SSDはネジではなくピンでとめるスタイルです。
結局全体でねじを外す必要があったのは、一本だけでした。

▲SSDはWestern Digital製、メモリはSAMSUNG製でした。

ネット情報を見るとここはちょくちょくメーカーが変わるみたいです。
WDとSAMSUNGなら当たりの部類でしょう。

▲天板と底面のふたです。

天板側はフロントの大部分が吸気口となっていることが分かります。
底面のふたの黒い部分は絶縁シールと思われます。

システム

▲BIOS画面は2カラムで見やすいです。

▲起動前にまずはバックアップです。

バックアップに使ったソフトはいつもの「Macrium Refrect Free」です。

バックアップ容量は17.89GBでした。

▲デスクトップはオリジナル壁紙です。

▲OSはWindows 10 Home

▲CPU-ZのCPU情報

バージョンが古かったので型番(3400GE)まで入っていません。

▲起動直後のメモリ使用量は1.7GBとやや少なめです。

GPUに約2GB使われている(ハードウェア予約済みの部分)ので、使用可能容量は5.9GBになります。
通常使用に問題があるほどではありませんが、16GBくらいに増やしておく方がいいでしょう。

▲ストレージはこんな感じ。

128GBと決して多くはない容量ですが、大容量ゲームを入れたりしない限りは、普通に使えると思います。

▲CrystalDiskInfoで見るとこうなります。

PCIe3.0 x2(片方向1.969GB/s)での接続になっています。

▲CrystalDiskMarkにかけてみました。

リード1550MB/s、ライトは800MB/sです。
ライトは容量(チップ数)に比例するので、128GBだと高い数字は出ません。なのでこんなものかと。

▲スタートアップには余計なものは入っていません。

▲デバイスマネージャーを見るとこんな感じ。

オーディオはPHL 272P7Vとなっていますが、これはディスプレイのスピーカーですね。

▲おまけでBatry Report

バッテリー非搭載なので、当然こうなります。

ちょっと使ってみた

「M75q-1」は起動するとまずファンが全開になり、数秒後に制御が入って静かになります。
この辺りはサーバーとかに近い印象です。

ファンの音は低めの、まさにPCファンといったところで、それほど気になることはありません。
負荷が少ないときは1000RPM程度でゆるゆると回っているので、耳を近づけてやっと風切り音がする程度です。

逆に高負荷時はかなりのファン音量になりますが、音程としては低いので耳につく音ではなく、それほどストレスには感じませんでした。

▲排気量が結構大きく、しっかりと冷却されているためか、システムの温度も80度を超えることはありませんでした。

動作についてはM.2 SSDなので起動もサクサクで、使っていてストレスを感じることはありません。
NUCにありがちなモバイル向けではなく、デスクトップ向けCPUを使っているので、結構な負荷まで耐えてくれます。

標準だと使えるメモリが5.9GBと心もとないので、ブラウザで大量にタブを開くと多少怪しげな動きになります。
まぁ許容範囲内ではありますが、メモリもそれほど高くないので、+8GBくらいはしてもいいと思います。

グラフィック能力の高さはさすがで、Intel系を圧倒しています。
ライトなゲームならこれでもう十分ですね。

ベンチマーク

対象アプリ一覧

CrystalDiskMark 6.0.2
PassMark 9.0
Geekbench 4.4.2
Geekbench 5.0.1
CrystalMark 2004R7 v0.9.200.452
CINEBENCH R15.0
PCMark 10
3D Mark v2.0.6762
DQ X ベンチマーク v1.51
FF XIV 紅蓮の解放者
FF XIV 漆黒の反逆者
FF XV v1.2
Mオンs手rHunter Frontier 大討伐

jetstream 2
BaseMark
WebXPRT
MotionMark
SpeedMeter2.0
octane

※ベンチマーク条件

DQ Xは1280×720・標準、および1920×1080・最高品質の2種類
FF XIV(紅蓮/漆黒)は1280×720・高品質(ノート)、および1920×1080・最高品質の2種類
FF XVは1280×720・標準のみ

結果総覧

処理性能としては近い、以下のモデルを比較として評価していきます。

Lenovo ideapad 720S:Core i5-8250U
Lenovo IdeaPad S540:Ryzen 5 3500U
ASUS PN60:Core i7-8550U

Passmark(CPU)
Ryzen 5 3400GE88082063
Ryzen 5 3500U83831956
Core i7-8550U86552310
Core i5-8250U79762051

上段:マルチスレッド、下段:シングルスレッド

CPUの処理性能は、シングルスレッドはCore i5同等、マルチスレッドはCore i7以上という結果になりました。
まぁ、デスクトップ向けとモバイル向けを比べるのが間違いとも言いますが。

DQベンチマーク
Ryzen 5 3400GE46949701
Ryzen 5 3500U573710466
Core i7-8550U49069486
Core i5-8250U33935672

上段:1920×1080(最高品質)、下段:1280×720(標準品質)

ドラクエベンチマークは軽すぎるためか、それほど差が出ていません。
ただ実のところ、「M75q-1 tiny」は電源アダプタが足を引っ張っていて、全力を発揮できていません。

別途記事にする予定ですが、135W電源アダプタを用いてベンチマークを取ると、最高品質で9341、標準品質で15351という、圧倒的なスコアになります。

3DMark FireStrike
Ryzen 5 3400GE19242158
Ryzen 5 3500U17331908
Core i7-8550U11341253
Core i5-8250U918997

上段:総合スコア、下段:グラフィックスコア

3D Markでは面目躍如ということで、Core i7-8550UやRyzen 5 3500Uを超えるスコアを出しています。

消費電力・騒音について

消費電力はRATOC「WATTCHECKER」を、騒音計測はBENETECH「GM1356」を使用しています。

▲騒音測定は本体の30cm手前にマイクを設置して計測しました。

まずは消費電力からです。

アイドル時9.6W
CINEBENCH(S)31.7W
CINEBENCH(M)69.3W
最大70.4W

見てのとおり、CINEBENCHで電源アダプタのフルパワーを使い切っています。
こんな状態では、グラフィックに回す余力が足りなくて、スコアが伸びないのも当然ですね。

というか、65Wのアダプタでも70W出るんですね。

続いて騒音です。

騒音(電源オフ)34.8dB
騒音(アイドル)37.4dB
騒音(最大)55.9dB

測定時間:深夜1時頃

騒音レベル[dB]音の大きさのめやす自室内の聞き騒音
うるさい70掃除機
騒々しい街頭
うるさい非常にうるさい
60普通の会話・チャイム
時速40キロの自動車の内部
非常に大きく聞こえうるさい
声を大きくすれば会話ができる
普通50エアコンの室外機
静かな事務所
日常生活で
望ましい範囲
大きく聞こえる
通常の会話は可能
40深夜の市内
図書館
多少大きく聞こえる
通常の会話は十分に可能
静か30ささやき声
深夜の郊外
静か非常に小さく聞こえる
20ささやき
木の葉のふれあう音
ほとんど聞こえない

「M75q-1 tiny」の最大音量は55.9dBとかなり高くなっています。

▲最大音量時のファン回転数は3668RPMでした。

ファンの最大回転はCPU-Zのストレステスト時に出たものですが、テストを終了するとあっという間に下がっていき、2500RPMを切るころには気にならなくなります。

ブラウザでネットサーフィンをする程度ではファンもほとんど回らず、静かなものなので、オフィス用途であれば机の上に置いていても気になるほどの音量になることはそうそうないと思います。

まとめ

「M75q-1 tiny」をレビューした人が必ずと言っていいほど口にするのが、「自作では追いつけない」「自作がばからしくなるコスパ」といった言葉です。

がじぇっとりっぷの感想まさにこれで、中古でも「M75q-1 tiny」のコストパフォーマンスに追いつくことは困難です。

記事執筆時点では今年一番の買い物ですね。

▼レビューの続き

【レビュー】Lenovo「ThinkCentre M75q-1 Tiny」の電源アダプタを変えたら爆速に…なりすぎでしょこれ

関連リンク

ThinkCentre M75q-1 Tiny:Lenovo

付録

ベンチマーク結果一覧

メーカーLenovo
モデル名M75q-1 (65W)
CPURyzen 5 3400GE
GPURadeon Vega 11
メモリ8GB
ストレージ128GB SSD
PassMarkTotal3025.6
CPU Single2063
CPU Multi8808.4
2D517.9
3D1313.2
Memory1435.6
Disk9858.3
CPU-ZSingle421.1
Multi2318
GeekBench4Single3993
Multi11495
OpenCL30976
OpenCL(dGPU)
GeekBench5Single957
Multi2655
OpenCL10395
OpenCL(dGPU)
CrystalMarkMark332865
ALU110505
FPU76183
MEM44785
HDD54612
GDI9038
D2D4430
OGL33312
CINEBENCH R15OpenGL35.21fps
CPU(M)770cd
CPU(S)154cd
CINEBENCH R20CPU(M)1736 pts
CPU(S)393 pts
PCMarkALL4025
Essensial7960
Productivity6322
DigitalContent3517
3DMarkTimeSpy771
Graphics682
CPU2993
FireStrike1924
Graphics2158
Phisics11143
Combined630
NightRaid7557
Grapihics8553
CPU4553
SkyDiver6647
Graphic6900
Phisics8693
Combined4085
CloudGate12265
Graphics14531
Phisics7936
IceStorm80743
Graphics95695
Phisics52199
IceStormEX64422
Graphics68919
Phisics52447
IceStormUnlimited1059334
Graphics138593
Phisics58054
VR Mark
DQ1280・標準9701
1920・最高4694
FF XIV
紅蓮
1280・標準2967
1920・最高1243
FF XIV
漆黒の反逆者
1280・標準2939
1920・最高1381
FF XV1280・標準1535
1920・最高
MHF
大討伐
12804668
19202681
ブラウザjetstream2100.349
BaseMark640.04
WebXPRT161
MotionMark242.81
SpeedMeter2.072.7
octane36904

ベンチマーク結果画像

コメント

  1. 匿名 より:

    あんまり知られてませんが、特定のUSBポートにキーボードつないでALT+P押下で電源投入できます。
    場所は背面標準HDMIコネクタの右のUSBポートです。(四角いマークがついてますが普通は意味わかりません)
    VESAマウントしても安心仕様ですが、HUB経由するとNGなのでご注意下さい。

    • がじぇっとりっぷ より:

      コメントありがとうございます。
      USB+キーボードマークが何なのか気になっていたのですが、謎が解けました。

  2. 匿名 より:

    タイトルはM715qではなくM75q-1であるべきではないでしょうか?
    内容はM75q-1ですし

    • がじぇっとりっぷ より:

      コメントありがとうございます。
      おっしゃる通り、タイトルが間違いですので修正しました。

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