2023年11月14日、Banana PiはRockchip RK3588を搭載したSBC「BPI-M7」をフォーラム上で発表しました。
Banana Pi BPI-M7 with Rockchip RK3588 design, 8/16/32G,RAM 64/128G eMMC:Banana Pi Forum
スペック

■ BPI-M7 | |
CPU | Rockchip RK3588 |
---|---|
メモリ | 8~32GB LPDDR4x |
ストレージ | 32~128GB eMMC M.2 Key-M(Gen3 x4) |
インターフェース | USB Type-C(3.0)×1 USB 3.0×2 HDMI microSDXC オーディオジャック |
wi-fi | Wi-fi 6+BT5.0 |
サイズ | 92×62mm |
特徴
「BPI-M7」はBanana Piでは4機種目となる、RK3588搭載SBCです。
4機種目と言っても、コアボード、ルーターボード、SoM(System on Module)ときて、SBCタイプのRK3588機は初めてです。

SoC
「BPI-M7」のSoCはRockchip RK3588。最近増えてきたRK3588Sではなく、無印の方のRK3588です。
最近だと「Orange Pi 5 Plus」やFriendlyELEC「CM3588」などに搭載されています。


ブロックダイアグラムはこんな感じ。
地味にHDMI-IN (HDMI RX)をサポートしています。
GeekBenchスコアはこんな感じ。
SBC界隈で主流のRK3399のざっと3倍、PC向けと比較するとシングル・マルチ性能ともにCeleron N5105と同等程度です。
なお、弟分のRK3588Sと比較すると、違いは以下のようになっています。
RK3588S | RK3588 | |
---|---|---|
CPU | Cortex A76 ×4 Cortex A55 ×4 | |
GPU | Mali-G610 MP4 | |
NPU | 6TOPS | |
メモリ | LPDDR4x/LPDDR4/LPDDR5 最大32GB | |
映像出力 | HDMI 2.1/eDP ×1 DisplayPort ×1 MIPI DSI ×2 | HDMI 2.1/eDP ×2 DisplayPort ×2 MIPI DSI ×2 |
映像入力 | 48MP ISP MIPI CSI 4×2lane DVP | 48MP ISP MIPI CSI 4×2lane DVP HDMI-IN (4K/60Hz) |
ネットワーク | 1GbE ×1 | 1GbE ×2 |
USB | USB3.1 Gen1(OTG) ×1 USB3.1 Gen1(HOST) ×1 USB2.0 (HOST) ×2 | USB3.1 Gen1(OTG) ×2 USB3.1 Gen1(HOST) ×1 USB2.0 (OTG) ×2 |
PCIe | – | PCIe 3.0 x4 |
Combo PIPE | 2ポート | 3ポート |
低速I/O | SPI ×5 I2C ×9 UART/GPIO ×10 12bit ADC CAN bus ×3 | SPI ×5 I2C ×9 UART/GPIO ×10 12bit ADC |
サイズ | 17×17mm | 21.45×21.45mm |
RK3588Sは、CPU/GPU/NPU構成はRK3588と同じで、インターフェース周りが簡素化された分、パッケージサイズが小型化しています。
そのため、もともと搭載できるインターフェースの限られる、クレカサイズSBCに採用されやすいという側面があります。
参考 RK3588 データシート:CNX Software ※PDF
参考 RK3588S データシート:CNS Software ※PDF
メモリとストレージ
メモリは8GBから32GBまでのLPDDR4x。
ストレージは32GBから128GBまでのeMMC。
microSDとM.2 SSD用のKey-Mスロット(2280のみ)も搭載しています。
M.2 SSDはGen3 x4接続(このためにRK3588SではなくRK3588を使っている)で、最大3,500MB/s前後の速度が出ます。
でも多分、SoCの方が処理しきれないんじゃないかな…
その他
無線LANはWi-fi 6(802.11ax)対応。チップはAP6275Pです。
オンボードWi-fiチップは日本だと技適の関係で使えないことが多いのですが、コンパクトさを優先するとM.2 Key-Eスロットの実装は厳しいですね…
有線LANはデュアル2.5GbE。
デュアル2.5GbEは各社とも出してきているので、一つのトレンドと見ていいでしょう。


電源はType-CでUSB PD(9V/2A~15V/2A)に対応しています。
対応OSはAndroid 12.0,Debian11、Ubuntu 20.04/22.04、Kylin OS。
ちなみにX上ではiStoreOSというNAS機能とDockerをメインにしたOpenWRTベースの中国語OSが動作する様子が投稿されています。
Banana Pi BPI-M7 Rockchip RK3588 open source SBC run istoreos demo ,BPI-M7 with Rockchip RK3588, 8/16/32G,RAM 64/128G eMMC,Mini size just 92x62mm. https://t.co/1R5iVKCXPx#raspberrypi #istoreos #bananapi #sbc #rk3588 #ai #maker #linux #android pic.twitter.com/PY7BdCZWBW
— Banana pi Open Source Hardware (@sinovoip) December 4, 2023
外観
インターフェースです。
RK3588搭載SBCとしてはコンパクトな92×62mmというサイズゆえ、密度がすさまじいことに。
M.2 SSDスロットを搭載しようとすると、このサイズがコンパクト化の限界と考えてよさそうです。
ちなみに他のRK3588搭載SBCのサイズは、「Orange Pi 5 Plus」は100×75mm、「NanoPC-T6」は110×80mm、「ROCK 5B」は100×72mmです。
斜めから見ると、Khadas製品のようにLANポートが埋め込み型になっていることが分かります。

なのでケースに入れるとこんな薄型に。
Banana PiはArmSoMというシンガポール拠点(設立時は深セン)のメーカー(ブランド?)のOEMをしているので、ArmSoMのロゴが入っています。
まとめ
「BPI-M7」としてはまだ発売されていませんが、ArmSoMからは「Sige7」という名称で販売されていて、価格は以下となっています。
8GB/64GB:165ドル
16GB/128GB:196ドル
32GB/128GB:260ドル
何気にメモリ32GBがラインナップに並んでいます。今のところ問い合わせなしでメモリ32GBモデルが買えるのは「ROCK 5B」くらいしか知らないので、メモリ32GB+デュアル2.5GbEをショップで買えるのはこれだけかと。
まぁ、SBCでメモリ32GBあっても何するよ?って話ですが。
なお、現時点ではBanana Piではマニュアルは公開されているものの、OSのイメージファイルなどはArmSoMでしか公開されていません。
あとは…本家からも発売するのかって点が気になるところです。
関連リンク
Banana Pi BPI-M7製品ページ:Banana Pi
リリースノート:Banana Pi Forum
ドキュメント類:Banana Pi Docs
Sige7 販売ページ:ArmSoM
Sige7 製品ページ:ArmSoM
イメージダウンロード:ArmSoM
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